SPONSORED LINK

2017年8月11日金曜日

「おクジラさま ~ ふたつの正義の物語」を観て


  昨日、「おクジラさま ~ ふたつの正義の物語」という映画を見てきました。一言で言うと、反捕鯨団体シーシェパードメンバーが、はるばる、わざわざ、ご苦労様なことに、日本の捕鯨の町、太地町までやってきて、一方的に「自分たちの正義」を振りかざし、「日本人をクズ扱い」し、素朴・純朴な町民が戸惑う様を描いた映画です。

  映画の製作者佐々木監督は、日本以外で著名な「The Cove(反捕鯨映画/2009年)」に対し、日本人として怒りを覚え、映画製作を考えたのだそうです。しかしながら、映画のトーンは「日本側の主張」というものではなく、反捕鯨側の主張、日本側の反論、途方に暮れる太地町、何故か大活躍の右翼(笑)、それぞれのあるがままを描いています。観る者によっては「メッセージが無い」とも受け取られかねない作品かなと思いました。

  しかし、メッセージはしっかりあります。試写会後、佐々木監督を囲んで質疑応答の時間がありましたがその際、佐々木監督は『誰かを悪者にする映画にならないよう注意を払った』と述べています。これこそこの作品が放っているメッセージだと思います。

  ところで、このメッセージを読み取れる人口は、どれほどのパーセンテージになるんでしょう?人類全体の大多数がこのメッセージを読み取るなら、この世界に戦争は存在しないな、と思っていました。また、日本人の大多数がこれをできるなら、日本は世界平和をリードする立場と資格を持っていると思います。

  そもそも「正義とは何か?」、そんなことを考えながら映画を見ていました。定義とまでは言いませんが、

(1) 正義は『他者を悪者に仕立てげる』もの、
(2) 正義は、思考を求めず、情緒に訴えるもので、『安易』に広く、深く、強く共有されやすい、
(3) 正義は、唯一絶対ではなく、複数存在し得るもの、
(4) 正義は、悪者への『暴力を正当化する』もの、

といった性質を持っていそうです。「戦争が起きる主要な要因」ということもできそうです。正義というと多くの場合、肯定的に捉えられますが、実は極めて危険なものです。

  あくまで私の主観ですが、日本人は世界で最も『正義の危険性』に気づいている民族と思っています。正義を振りかざす人物を見ることは、日本の日常では、まずありません。映画の中でシーシェパードの若いメンバーが、年配のリーダーの「捕鯨邪悪論」に陶酔したように聞き入る目を見て「狂気」を感じ取るのは、戦前戦中の日本がどうだったかを学んできた日本人だからでしょうか。

  佐々木監督がシーシェパードを批判するスタンスに立たないのは、それをやればシーシェパードと同レベルに『落ちてしまう』から、と思います。佐々木監督はシーシェパードへの怒りを抑えながら、「(良い意味での)上から目線」を保とうとしているのだと思います。

  この映画の副題にある「ふたつの正義」という言葉がそれをよく表しています。正義は複数、互いに妥協することなく、存在し得るものです。一方の正義が、真正面から他方の正義を否定しようとすれば反撃を食らい、反撃が反撃を呼び、エスカレートすれば、戦争にまで及んでしまうような危険なものです。キリスト世界vsイスラム世界の絶え間ない摩擦はその典型に見えます。

  だから太地町の町民のよう反撃せず(できず)ただ我慢することが最善だというわけではありません。佐々木監督がこの映画を製作したのも、黙り込むべきではないと考えたためで、その思いに、私を含め、多くの共感を集め、現にクラウドファンディングで多額の資金を募りました。

  戦うことは必要です。ただその戦い方では、正面衝突を避けることが賢明です。映画を見て気づくようにシーシェパードのメンバーの若手はよく言えば純真、悪く言えば幼稚です。映画の中で、若い女性メンバーが「太地町を『より良い方向』に導くためにシーシェパードができることを教えてください!」と発言します。「何を良くて、悪いとみなすかの基準」が噛み合っていないから対立していると言うのに、全くあきれてしまいますね。

  ただ、これは大きなヒントです。日本人は欧米人というだけで委縮してしまいますが、シーシェパードの大半は実は「大人子供」です。真っ向からシーシェパードの主張を否定するのではなく、いったん受け入れ、例えば「クジラの屠殺は確かに残酷だ。しかし残酷でない屠殺はあり得るのか?」「豚の屠殺シーンを見たことが無いから、クジラの屠殺だけが特別に残酷に思うのではないか?」など投げかけ、「シーシェパードの正義」を少しづつ時間をかけ、切り崩していく作戦など良いのではないでしょうか?正面から全否定すれば、逆に相手の正義を燃え上がらせてしまいますから。

  正義感に燃えているシーシェパードに対して、もう一つの正義を振りかざしてはいけない。「正義の危険性」を知る日本人だからこそ、見いだせる賢い戦い方がありそうです。

  日本を『悪者に仕立てげる』存在はシーシェパードだけではありません。慰安婦問題もあります。しかし、シーシェパードとの戦い方を見いだせれば、連戦連勝のような気がします。楽観的過ぎるでしょうか?「正義」は危険ですが、その本質は情緒的で、その信者はとても幼稚です。日本人が、我々自身が思うほどに、「大人なのか」「賢いのか」が試されているのだと思います。





ところで、人気ブログランキングに参加しております。
下の応援クリックをいただけますと励みになります。



1 件のコメント:

SPONSERED LINK

「おクジラさま ~ ふたつの正義の物語」を観て

  昨日、「 おクジラさま ~ ふたつの正義の物語 」という映画を見てきました。一言で言うと、反捕鯨団体シーシェパードメンバーが、はるばる、わざわざ、ご苦労様なことに、日本の捕鯨の町、太地町までやってきて、一方的に「自分たちの正義」を振りかざし、「日本人をクズ扱い」し、素朴・純...